AccessをNASで使うと遅い?NASからWindows Serverへ変更して改善した事例
① よくあるお問い合わせ:NAS上のAccessが遅い
「AccessのバックエンドDBをNASに置いて複数人で使用しているが、入力処理が遅い」というご相談をいただくことがあります。
Accessを複数人で利用する場合、フロントエンドのAccessファイルを各PCに配置し、テーブルを格納したバックエンドDBをNASやファイルサーバーの共有フォルダに配置する構成があります。
NASを使用しているからといって、必ずAccessが遅くなるわけではありません。
しかし、AccessはバックエンドDBとの間でデータの読み書きを行うため、NASの性能やネットワーク環境、同時利用者数、Accessアプリの作りなどによって、処理速度や安定性に影響が出る場合があります。
今回は、約30台のPCから利用されていたAccessシステムについて調査し、NASからWindows ServerへバックエンドDBの配置先を変更するなどの対応によって、速度低下やエラーが改善した実際の事例をご紹介します。
② AccessのバックエンドDBをNASに置いた場合に確認したいポイント
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| NAS | NASの性能、負荷、ファイル共有環境 |
| ネットワーク | LAN、Wi-Fi、通信速度、ネットワーク構成 |
| 同時利用 | Accessを同時に利用する人数 |
| バックエンドDB | データ量、ファイルサイズ、テーブル構成 |
| リンクテーブル | フロントエンドとバックエンドの接続方法 |
| クエリ | 大量データの取得や非効率な処理 |
| VBA | データ更新処理やエラー処理 |
| トランザクション | 複数の更新処理を安全に実行できる作りになっているか |
Accessが遅い場合、Accessファイルだけを調査しても原因を特定できないことがあります。
特にバックエンドDBをNASなどの共有ストレージに配置している場合は、Accessアプリと利用環境の両方を確認することが重要です。
③ 結論:AccessだけでなくNASやネットワークを含めて調査する
AccessをNAS環境で使用していて遅い場合、Accessだけを改修すれば改善するとは限りません。
Access側のテーブル、クエリ、VBAなどに問題がなくても、バックエンドDBを配置しているNASやネットワーク環境が処理速度に影響している場合があります。
反対に、NASを高性能な機器へ変更しただけでは、Accessアプリ側に原因があれば改善しない可能性があります。
そのため弊社では、Accessアプリだけでなく、バックエンドDBの配置場所、ネットワーク、利用人数、実際の使い方などを含めて調査し、ボトルネックを特定します。
「NASが悪い」「Accessが悪い」と最初から決めつけず、システム全体を確認することが重要です。
なお、Accessが遅くなる原因はNASだけではありません。 データ量、テーブル、クエリ、インデックス、ネットワーク、バックエンドDB、サーバーなど、 さまざまな要因が考えられます。
Accessが遅くなる主な原因と、検索時間を約30秒から約6秒まで短縮した別の改善事例については、 Accessが遅い原因は?検索時間を30秒→6秒に改善した事例と対処方法 で詳しく紹介しています。
④ 実際の改善事例:30台程度のPCから利用するAccessシステム
今回ご紹介するお客様では、Accessのフロントエンドとバックエンドを分離し、バックエンドDBをNASの共有フォルダに配置していました。
複数のAccessアプリがあり、約30台のPCから利用できる環境でした。常時利用しているユーザーは5人程度でした。
【環境】
Accessフロントエンド+NAS上のバックエンドDB
利用PC:約30台
常時利用:約5人
複数のAccessアプリを業務で使用
【症状】
特にデータ入力時の処理が遅く感じられる状態でした。
また、速度だけでなく、ときどきエラーやAccessのクラッシュが発生することもあり、安定性についても課題がありました。
【調査内容】
- 複数のAccessアプリの解析
- テーブルやクエリの確認
- VBAの処理内容
- データ更新方法
- NASを含む利用環境
- 実際の運用・使い方
特定のAccessファイルだけを見るのではなく、システム全体と実際の利用環境を含めて調査しました。
⑤ 調査で分かったこと:NAS環境とAccessアプリの両方に改善点
調査の結果、速度面については、バックエンドDBを配置していたNAS環境が影響していると判断しました。
一方で、Accessアプリ側についても改善すべき点が確認されました。
特にデータ更新処理では、トランザクション処理が実装されていない箇所があり、処理途中でエラーなどが発生した場合の安定性という点で課題がありました。
| 確認された課題 | 主な内容 |
|---|---|
| 速度面 | NASを含むバックエンドDBの利用環境 |
| 安定性 | Accessアプリ側の作りやデータ更新処理 |
Accessの「遅い」「エラーが発生する」「ときどきクラッシュする」といった症状では、一つの原因だけに絞って考えないことが重要です。
⑥ NASからWindows Serverへ変更
速度面の改善策として、バックエンドDBの配置先をNASからWindows Serverへ変更しました。
また、Accessアプリ側についても調査結果に基づいて必要な改善を行いました。
【変更前】
Accessフロントエンド
↓
NAS
↓
AccessバックエンドDB
【変更後】
Accessフロントエンド
↓
Windows Server
↓
AccessバックエンドDB
その結果、以前遅く感じられていた入力処理は、ほぼ遅延を感じない状態まで改善しました。
また、以前発生していたエラーについても、対応後は発生しなくなりました。
入力処理:遅延を感じる状態 → ほぼ遅延を感じない状態
エラー:ときどき発生 → 対応後は発生なし
※上記は今回ご紹介したお客様環境での改善結果です。NASからWindows Serverへ変更すれば、すべてのAccessシステムで同様に改善するという意味ではありません。
⑦ NASをWindows Serverに変更すればAccessは必ず速くなる?
必ず速くなるわけではありません。
Accessが遅くなる原因としては、次のようなものが考えられます。
- NASやファイルサーバー
- ネットワーク
- データ量
- インデックス
- クエリ
- VBA
- リンクテーブル
- 同時利用人数
今回の事例では調査によってNASを含む利用環境が速度面に影響していると判断したため、Windows Serverへの変更を行いました。
原因がクエリやVBAにある場合には、サーバーを変更しても十分に改善しない可能性があります。
そのため、NASをWindows Serverに変更すること自体を目的にするのではなく、最初に何がボトルネックになっているのかを調査することが重要です。
Accessが遅くなる原因は、NASやネットワーク以外にも、データ量、クエリ、リンクテーブル、VBA、バックエンドDBなどさまざまです。
Accessが遅くなる主な原因と、原因を切り分ける際の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
Accessが遅い原因は?検索時間を30秒→6秒に改善した事例と対処方法
⑧ NAS上のAccessが遅くてお困りではありませんか?
「NAS上にAccessのバックエンドDBを置いているが遅い」
「複数人で使うと入力処理が遅くなる」
「Accessでエラーやクラッシュが発生する」
「NASが原因なのかAccessが原因なのか分からない」
といった場合は、Accessアプリだけでなく、NAS、ネットワーク、バックエンドDB、利用環境などを含めて原因を調査します。
原因を確認したうえで、Access側の改善、データベース構成の見直し、Windows ServerやSQL Serverの利用など、環境に適した改善方法をご提案します。
⑨ FAQ
Q. AccessのバックエンドDBをNASに置いても大丈夫ですか?
NAS上にバックエンドDBを配置したAccessがすべて問題になるわけではありません。ただし、NASの性能、ネットワーク、同時利用人数、Accessアプリの作りなどによって、速度や安定性に影響が出る場合があります。
Q. NASをWindows Serverに変更すればAccessは速くなりますか?
必ず速くなるとは限りません。今回の事例では改善しましたが、Accessが遅い原因がクエリ、VBA、データ量などにある場合は、Windows Serverへ変更しても十分な改善が得られない可能性があります。
Q. Accessを複数人で使うと遅くなるのはなぜですか?
複数人でバックエンドDBへアクセスすると、データの読み書きやネットワーク通信が増えます。ただし、同時利用人数だけでなく、ネットワーク、クエリ、データ量、アプリの設計なども関係するため、利用環境全体を確認する必要があります。
Q. Accessでエラーやクラッシュが発生するのもNASが原因ですか?
NASだけが原因とは限りません。今回の事例でもAccessアプリ側に改善すべき点がありました。エラーやクラッシュが発生する場合は、利用環境とAccessアプリの両方を調査することが重要です。
Q. AccessからSQL Serverへ移行した方がよいですか?
データ量や同時利用人数、システムの使い方によってはSQL Serverが適している場合があります。ただし、AccessのバックエンドをSQL Serverに変更すれば必ず速度や安定性が改善するわけではありません。現在の構成と問題の原因を確認してから判断することが重要です。
⑩ まとめ
AccessのバックエンドDBをNASに配置している環境で動作が遅い場合、Accessだけでなく、NAS、ネットワーク、バックエンドDB、利用人数などを含めて調査することが重要です。
今回ご紹介した事例では、約30台のPCから利用でき、常時5人程度が使用するAccessシステムで入力処理の遅延やエラーが発生していました。
複数のAccessアプリと利用環境を調査し、NASからWindows ServerへバックエンドDBの配置先を変更するなどの対応を行った結果、遅く感じていた処理はほぼ遅延を感じない状態となり、発生していたエラーも解消しました。
ただし、NASをWindows Serverへ変更すれば、すべてのAccessシステムが高速化するわけではありません。
Accessが遅い場合は「NASだから」「Accessだから」と原因を決めつけず、ボトルネックを特定してから適切な対策を行うことが重要です。
Access+NASの速度低下・エラーをご相談ください
Access本体だけでなく、NAS、ネットワーク、VBA、クエリ、バックエンドDBなどを含めて調査し、改善方法をご提案します。
「NASが原因なのかAccessが原因なのか分からない」という段階でもご相談いただけます。


