Accessのメール送信は SMTP+OAuth または Microsoft Graph / Gmail API へ切替が必要です。
- 対象:SMTP+ユーザー名/パスワードで送信しているAccess
- 理由:CDO.Message等の旧方式は停止後は送信不可になる可能性
- 対応:トークン取得→Graph(/sendMail)またはOAuth対応SMTPへ移行+再送/ログ設計
目次
なぜ対応が必要?(背景と期限)
Microsoft 365(Exchange Online)では、2026年3月から順次、SMTP AUTH の基本認証を停止し、4月末に完全停止します。今後は、OAuth を用いた SMTP 方式、または Microsoft Graph(/sendMail)への移行が必要です。
また、Gmail / Google Workspace でも、パスワードのみで接続する旧方式の利用はできません。OAuth 2.0 に対応した SMTP か、Gmail API への移行をご検討ください。
= Access側の送信ロジックを“OAuth or API”へ切り替える必要があります。
影響を受けやすい実装
- CDO.Message/CDOSYS を用いた Basic 認証の SMTP(587/STARTTLS を含む) で送信している場合は、今後送信できなくなる可能性があります。
-
Gmail を アプリ パスワード や 二段階認証の無効化で利用している場合は、
OAuth 2.0 対応の SMTP または Gmail API への移行が必要です。 - 共有メールボックスや大量送信で、再送制御 や スロットリング対策 を実装していない場合は、エラーや送信失敗が発生しやすくなります。
代替方式の比較(どれを選ぶ?)
| 方式 | 認証 | 長所 | 留意点 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| Microsoft Graph API(/sendMail) | OAuth 2.0(委任/アプリ) | SMTP非依存・将来性◎/添付・下書き・共有MBに強い | VBAでのHTTP実装が必要(トークン取得→送信) | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| SMTP+OAuth | OAuth 2.0(Modern Auth) | 既存SMTPフローを活かせる | クライアントがOAuth対応であることが前提 | ⭐⭐⭐⭐ |
| Direct Send / SMTPリレー | 匿名(コネクタ/送信元IP制御) | 装置・社内宛通知に向く | 外部宛不可など制約多い | ⭐⭐ |
Accessの移行プラン(最短ルート)
- Entra ID でアプリを登録します(権限:
Mail.Send。必要に応じて Application Access Policy で送信元を限定します)。 - トークンを取得します(例:
client_credentialsフロー、scope=https://graph.microsoft.com/.defaultを指定します)。 - VBA から
MSXML2.ServerXMLHTTPなどを用いて/users/{sender}/sendMailに POST します(HTML 本文や添付にも対応します)。 - エラー処理・再送制御・スロットリング対策・監査用ログを実装します。
- Entra ID でアプリを登録し、OAuth 2.0 でトークンを取得します。
- OAuth 対応の SMTP クライアントを用意し、
smtp.office365.com:587/TLSへトークンで接続します。 - 送信テストを行い、必要に応じて差出人(共有メールボックスなど)の権限や Application Access Policy を調整します。
- 再送制御・スロットリング対策・エラーハンドリング・ログ出力を実装します。
外部宛への送信はできません。装置やシステムからの内部向け通知など、限定用途でのご利用をおすすめします。
5分チェックリスト
✅ Access送信が SMTP+ID/パスワード のまま?
✅ 送信先(社内のみ/外部あり)、想定件数、添付の有無を把握した?
✅ Microsoft 365 は Graph か SMTP+OAuth のどちらにするか決めた?
✅ Gmail/Workspace は OAuth対応SMTP か Gmail API を選定した?
✅ 再送ルール・失敗ログ・監査要件を設計した?
当社の移行支援メニュー
- 現行診断(30–90分:要件/コードの棚卸し)
- 方式設計(Graph/SMTP+OAuth/Direct Sendの比較表+推奨案)
- 実装支援(VBA:トークン取得→送信、HTML/添付、日本語エンコード、再送・ログ)
- テスト/リリース(スロットリング配慮、手順書、障害時フロー)
- 運用設計(秘密情報保護、トークン更新、監視)
FAQ
Q1. SMTP AUTHは完全に使えなくなる?
A. Basic認証のSMTP AUTHは停止。以後はOAuth対応SMTPまたはGraph APIが必要です。
Q2. Accessの CDO.Message は継続利用できる?
A. 多くがBasic前提でOAuth非対応です。GraphまたはOAuth対応SMTPへ移行してください。
Q3. 社内宛だけ送れれば良いが?
A. Direct Send/SMTPリレーという選択肢があります(外部宛不可など制約あり)。
Q4. Gmail/Workspaceの場合は?
A. OAuth対応SMTPまたはGmail APIを利用します。
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